昇華転写プリントにおいて、平型プレス機で大ロットに対応するのは大変です。というのも、まずプレス機にTシャツやタオルなどの生地をセットし、手動でレバーをおろしプレスして……と、作業工程がとても多くなってしまうのです。それでは昇華転写で大ロット生産は諦めなければならないのでしょうか?
そんなことはありません!
「輪転機」と呼ばれるドラム式熱転写機を使えば昇華転写でも大量生産が可能!今まで外注していたものを内製化することができます。
ユーロポートはトルコのプレス機メーカー「Diferro(ディフェーロ)」の輪転機、MPシリーズとDLシリーズを取り扱っています。今回はこの二つのシリーズがどう違うのか、要点を押さえながら解説していきます。
お客様に最適な輪転機をご提案いたします。
それでは解説していきましょう。
目次
1. 大量生産のカギ「輪転式プレス機」とは?
まず、大量生産のカギを握る「輪転機」について簡単に説明したいと思います。
輪転機はドラムと呼ばれる円筒状のシリンダー部分に高熱を持たせて転写することから「ドラム式熱転写機」とも呼ばれます。
輪転機とはポリエステル生地への昇華転写をロール to ロールで行う熱処理の機械です。
転写紙や素材をロールのままセットできるため大幅に作業効率が上がり、一度に大量プリントできます。平型プレス機で長時間かかっていた作業も輪転機を一台導入するだけで時間を短縮することができ、効率的に昇華転写プリントできます。
輪転機は長尺対応かつ生産性が非常に高いのでスポーツウェア、ユニフォームなどのアパレル商品をはじめ、タペストリーやホームテキスタイル(カーテン・シーツ・カバーなど)、のぼり旗や横断幕といったあらゆるものの大量生産におすすめです。
サッカーやバスケットボールチームのユニフォームだけでなく、アニメや漫画のキャラクターのクッションや抱き枕、ぬいぐるみといったグッズも大量に製作できます。
2. 小ロットから大ロットまで! DLシリーズ
最初に紹介するのはDiffero「DLシリーズ」です。
DLシリーズはオイルで機械を温めるオイルヒーター式の輪転機です。
DLシリーズには「DL-13B200C」と「DL-17B200C」の2つのモデルがあり、それぞれドラム幅が異なります。ドラム幅は1,300mmと1,700mmとなっております。
大きさが異なると転写できるサイズが変わり、一度に転写できる量も変わります。
単純に大きなサイズのデザインを転写できるだけでなく、ドラム幅が大きければ大きいほど、一度により多くの転写が可能になります。
DLシリーズはロール to ロールの熱転写だけではなくカット生地(ピース生地)を置いて転写するテーブルが付いています。
今まで一枚ずつ平型プレス機にセットし、レバーを下げて転写していたものが、この機械のテーブルに乗せるだけで効率的に転写できます。
DLシリーズはコントロールパネルで温度調整、速度調整などを操作できます。
DLシリーズは従来の輪転機と比較して超コンパクトでコストパフォーマンスの高い輪転機です。
初めて輪転機を検討される方、コストやサイズをできるだけ抑えたい方にオススメです。
製品仕様
DL-13B 200C |
DL-17B 200C |
|
---|---|---|
ドラム直径 | 200mm | |
ドラム幅 | 1,300mm | 1,700mm |
転写可能サイズ | 1,200mm | 1,600mm |
転写速度 | 1.20m/分、 86m²/時 |
1.20m/分、 151m²/時 |
総電力 | 5kW | 7kW |
平均消費電力 | 3.25kW | 5kW |
ドラム抵抗力 | 4.0kW | 6.0kW |
ドラムエンジン出力 | 0.55kW | 0.75kW |
本体寸法 (W×D×H) |
1,870 ×1,000 ×1,380mm |
2,270 ×1,000 ×1,380mm |
本体重量 | 250kg | 310kg |
梱包サイズ (W×D×H) |
2,050 ×1,150 ×1,620mm |
2,450 ×1,150 ×1,620mm |
梱包重量 | 275kg | 340kg |
加熱システム | オイルヒーター | |
最高温度 | 220℃ | |
平均加熱時間 | 35分 | |
平均冷却時間 | 50分 | |
電源 | 3相 - 200V - 50/60Hz | |
空気取り入れ口 | 最小5~最大8 | |
電気システム | 自動制御 | |
フェルトテンション フェルトコントロール |
マニュアル | |
ドライブ速度操作 | ACインバーター | |
巻き戻し(巻きほぐし) 巻取り |
圧縮シャフト | |
ウィークリータイマー | 無し | |
自動シャットダウン | 有り | |
安全装置 | 緊急ボタン2つ | |
ソフトウェア言語 | 英語 | |
保証 | 機械2年、電気1年(ユーザー障害は含まれません) |
3. 昇華転写で大量生産! MPシリーズ
次にDiferro「MPシリーズ」です。
MPシリーズもオイルヒーター式ですがDLシリーズよりも大きな輪転機で、より大量生産ができます。
MPシリーズには4種類の大きさのことなるモデルがあり、ドラム幅が1,200mmから2,100mmまでの幅があります。
最大で900mmも幅が変わるのであらゆる製作物に対応できます。
DLシリーズのドラム直径が200mmなのに対してMPシリーズは320mmとより大きいドラムを搭載しています。
そのため転写スピードにも大きく差があり、同じドラム幅でもMPシリーズのほうがDLシリーズの約2倍の速さで転写できます。
輪転機の操作に慣れて転写作業も早くなると、短時間でより多く昇華転写したいと思うかもしれません。その場合は転写速度が速いMPシリーズがオススメです。
材料を置くテーブルもDLと比べると作業スペースの面積が広いのがわかると思います。
流れてくる転写紙に生地を乗せていくことで自動的に転写できます。
テーブルがとても広く、奥行きがあるのでより多くの生地を一度に配置できます。そのため生産効率が格段に上がります。
MPシリーズにはウィークリータイマーという機能が付いておりタイマーをセットしておけば自動的に機械を温めてくれます。
例えば前日の夜にタイマーをセットしておけば、次の朝にはすでに温度が上がっているので、すぐに作業に取り掛かることができるのです。
今まで予熱していた時間でウェア作成ができ、より生産性を上げることができます。
また自動冷却システムも付いており、一定の温度まで熱が下がると自動で電源が切れます。熱が冷めるまで付きっきりで機械を見ておく必要がありません。
これらの機能は全てタッチパネルで操作を行います。直感的な操作が可能なので誰でも簡単に使いこなすことができます。
またフェルトセンタリングシステムにより、転写中にフェルトが左右に蛇行しないよう自動で調整してくれます。蛇行を手動で調整する必要がないので作業が捗ります。
MPシリーズはハイスペックな機能でより効率的に大量生産できる輪転機と言えるでしょう。
製品仕様
MP-13 B320C |
MP-17 B320C |
MP-19 B320C |
MP-22 B320C |
|
---|---|---|---|---|
ドラム直径 | 320mm | |||
ドラム幅 | 1,300 mm |
1,700 mm |
1,900 mm |
2,200 mm |
転写可能サイズ | 1,200 mm |
1,600 mm |
1,800 mm |
2,100 mm |
転写速度 | 2.10m/分、 151m²/時 |
2.10m/分、 202m²/時 |
2.10m/分、 227m²/時 |
2.10m/分、 265m²/時 |
総電力 | 15kW | 20kW | 25kW | 30kW |
平均消費電力 | 9.75kW | 13kW | 16.25kW | 19.5kW |
ドラム抵抗力 | 13.5kW | 18.5kW | 23.5kW | 28.5kW |
ドラムエンジン出力 | 0.75kW | |||
本体寸法 (W×D×H) |
2,200 ×1,800 ×1,300 mm |
2,600 ×1,800 ×1,300 mm |
2,800 ×1,800 ×1,300 mm |
3,100 ×1,800 ×1,300 mm |
本体重量 | 750kg | 1,100kg | 1,320kg | 1,540kg |
梱包サイズ (W×D×H) |
2,450 ×1,300 ×1,550 mm |
2,850 ×1,300 ×1,550 mm |
3,050 ×1,300 ×1,550 mm |
3,350 ×1,300 ×1,550 mm |
梱包重量 | 825kg | 1,210kg | 1,450kg | 1,695kg |
加熱システム | オイルヒーター | |||
最高温度 | 220℃ | |||
平均加熱時間 | 80分 | |||
平均冷却時間 | 150分 | |||
電源 | 3相 - 200V - 50/60Hz | |||
空気取り入れ口 | 最小5~最大8 | |||
電気システム | PLC制御 | |||
フェルトテンション | 空気圧 | |||
フェルトコントロール | 自動 | |||
ドライブ速度操作 | ACインバーター | |||
巻き戻し(巻きほぐし) 巻取り |
圧縮シャフト | |||
ウィークリータイマー | 有り | |||
自動シャットダウン | 有り | |||
安全装置 | 緊急ボタン4つ | |||
ソフトウェア言語 | 英語(オプション) | |||
保証 | 機械2年、電気1年(ユーザー障害は含まれません) |
4. 2機種を比較してみて
2機種を比較してみると、同じ輪転機でも転写可能サイズ、テーブルの大きさ、転写スピード、操作パネルなど、さまざまな違いがあることがわかりました。何を重要視するかしっかり見極め、あなたに最適な一台を選ぶことが重要です。
輪転機を導入するだけで作業効率は格段に上がり、大ロットの受注にも対応することができます。また今まで外注していた工程も自社で行うことで、納期の短縮、コスト削減につながります!
もっと効率的に生産したい、大きなのぼり旗やバナーを製作できるようにしたいとお考えであれば輪転機DL、MPシリーズを検討してみてはいかがでしょうか。
2021年に完成したユーロポートの第2ショールームライトハウス(LIGHT HOUSE)では、輪転機を実際に動かしてデモンストレーションを行えます!
さまざまな大型機械が動いている様は圧巻です。
もし機械の導入で分からないこと気になることがございましたら、専門のスタッフがお客様に最適な一台をご提案いたしますので、是非お気軽にお問い合わせください。