模様が浮き出すように紙に加工を施すエンボス加工。印刷業を営む方やデザイン会社の方など、ものづくり業界ではおなじみの加工技法です。
名前は知らなかったとしても、加工された紙自体は誰しも目にしたことがあるはずです。例えばグリーティングカードや手紙の封筒など、特別な日に用いられる紙製品でよく見かけるかもしれません。
デザインが立体的に見え、平面のままの紙より目を引く印象に仕上げることができるのが魅力的ですよね。
しかし、その加工のためには大掛かりな設備と版が必要でした。
小ロット対応は難しそう……コスト面に難があるのでは……?と導入に踏み切れなかった方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、版の必要無いエンボス加工機、エンボスプリンター「スウェルゴッホ(SwellGogh)」をご紹介いたします!
エンボス加工のプリンターは実は業界でも珍しく、まだ類似商品があまり出回っていません。
小ロット対応可能な新たなシステムの導入をしたい!
まだ他社が導入していないシステムを入れて差をつけたい!
既存のプリントシステムにひと工夫加えたい!
そんな方におすすめのプリンターです!
名刺やポストカード、ペーパークラフトなどの紙製品の生産をはじめ、ギフトやラッピングの制作を請け負っている方は要チェックのシステムです。
【目次】
- ・エンボスプリンターとは?
- ・実際に印刷してみよう
- ・工夫次第で商品の価値が大幅アップ!
- ・まとめ
エンボスプリンターとは?
エンボス加工とは
「エンボス」という言葉は、日本語で「型押し」の事を言います。
そしてエンボス加工は、紙の表面に凸凹を付けることによって立体的な模様を浮き出させる加工方法です。別名浮出し加工とも呼ばれます。
通常の印刷や箔押しに比べ、さりげない高級感や素材そのままの風合いを表現出来るというメリットがあります。平らな紙よりも見た目がおしゃれで人の目を引くことから、特別感の演出におすすめの印刷技法と言えるでしょう。
これまでは、絵柄の彫り込まれた凹状の版と凸状の版を用意し、それらで紙を挟みこみ加圧することによってエンボス加工を行っていました。
つまり、一つの絵柄を作成するのに毎回版を作成する必要があったのです。
大量生産向きではありますが、金型代やその保管にもコストがかかることから、小ロットの対応はどうしても難しい側面がありました。
エンボスプリンター「スウェルゴッホ」って?
さて、それでは今回の主役、エンボスプリンター「スウェルゴッホ(SwellGogh)」についてご紹介していきます!
エンボスプリンターとは、「通常のプリンターと同じくらい簡単にエンボス加工ができるプリンター」です。
専用紙をスウェルゴッホに通すだけで、これまでのエンボス加工と同じぐらいの立体感を表現することができます。
大がかりな加工機が必要なく、手軽に紙を加工することが可能です。
これまでの加工方法とは異なり、製版がいらないのが大きなメリットとなっています。
製版込みの方法では、コストとの兼ね合いで最低ロット数に制限が生じてしまいます。
その点スウェルゴッホなら注文に1枚から対応することができるので、顧客の様々なニーズに応えることが可能になります。
オンデマンド印刷に対応しつつ、コストを抑えたい方に非常におすすめのプリンターと言えるでしょう。
エンボスプリンターの仕組み
では、スウェルゴッホはどうやって版を使わず紙にでこぼこ模様をつけるのでしょうか。
立体化のカギは「スウェルゴッホ専用紙」にあります。
スウェルゴッホで使用する立体シートには、熱によって発泡する樹脂系のインクがあらかじめコーティングされています。この紙を下から加熱することで、インク部分の発泡層が熱に反応し、膨れ上がるのです。
つまり、凸加工したい部分のみに熱を加えることで、紙に立体的な模様を付けることができるというわけです。
エンボスプリンター「スウェルゴッホ」は、高精細のサーマルヘッド技術を搭載しています。
印刷データを読み込ませると、このサーマルヘッドが図柄の膨らませたい部分だけを加熱してくれるため、用紙の凹凸模様を表現することができるのです。
実際に印刷してみよう
用意するデータ
「スウェルゴッホ」でカラープリントするには2種類のデータが必要です。
実際の完成品柄が印刷されたカラーデータ、そしてエンボスプリンターで膨らませたい部分を指定するグレースケールデータです。
「スウェルゴッホ」は、グレースケールデータの階調に応じて印刷温度が制御され、印刷時の立体の高さが変化します。
簡単に言えば、データの中で色が濃い部分ほど高温で印刷され、立体がより厚くなるという仕組みになっているのです。
今回はこちらの2つのデータを用意しました。それではこの絵柄で実際に印刷してみましょう。
1. 立体用紙にカラーで印刷
まずは専用の用紙にカラーデータをプリントします。
ご家庭にあるような一般的な水性プリンターで問題無く印刷が可能です。
用紙には表と裏があります。必ず「文字の書かれていない面」にデータを印刷するように気を付けましょう。
※文字のある面
また、専用ラミネートフィルムをかける場合は、このタイミングでラミネートします。
ラミネート加工を行うことで、表面の仕上がりをきれいにできる他、外部からの傷や汚れから保護できます。
また、薄いカバーをかけているような状態になるため、熱がかかりすぎてしまうことによる紙の過度な発泡も防ぐことが出来ます。
スウェルゴッホにセットする前の時点で、専用紙にラミネートフィルムがかかっている状態にしておきましょう。
2. 印刷開始
スウェルゴッホにカラー印刷した用紙をセットします。
スウェルゴッホの印刷方法はとても簡単。というのも、特別なソフトにデータを読み込ませる必要が無いのです。
出力方法が一般的な水性プリンターと同じなので、どなたでも操作を理解しやすくなっています。
印刷の速さによって紙が熱される時間を調整でき、発泡の強さを調整することができます。詳細設定ができたらいよいよ印刷開始です。
スタートを押すと音声ガイドが流れ、ゆっくり丁寧に用紙が加工されていきます。
3. 完成!
出てきた用紙がこちら。しっかりと模様が浮かび上がっています!
これで無事エンボス加工が完成しました。
グレースケールデータで指定した箇所が見事に浮かび上がっていますね。
工夫次第で商品の価値が大幅アップ!
このように、気軽で簡単にエンボス加工ができるのがエンボスプリンター。エンボス加工をした紙で作る事ができる商品や作品は、工夫次第で無限に広がります。
今回は加工例のサンプルをいくつかご紹介いたします。
名刺
特殊な触感で強い印象を残せる
ビジネスの場で必要不可欠な名刺。
通常のデザインにエンボス加工をプラスすれば、手で触れた時に感じる凹凸がより人の記憶に残る、印象的な名刺が出来上がります。
ポストカード
立体感がクオリティを底上げ
イベントの記念やお土産としてよく販売されるポストカード。
ただのカードにエンボスプリンターで加工した素材をプラスすれば、より高級感のある仕上がりに。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はエンボスプリンター「スウェルゴッホ(SwellGogh)」についてご紹介いたしました。
通常のエンボス加工と違い小ロットにも対応できる点は、他社には対応できない注文に応えるチャンスに繋げられます。
操作も簡単で大掛かりな設備も必要ありません。
アイデア次第で個性的な商品や作品に仕上げられるため、新しいシステムへのチャレンジをお考えの方におすすめのプリンターです。
今回作成したサンプルは、見ただけではなく触ってみるとまた別の魅力を感じられます。ユーロポートでは実際にデモンストレーションを行っておりますので、機械やサンプルの実物が気になる方はぜひ一度お気軽にお問い合わせください!