レーザーカッターやレーザー彫刻機・加工機と呼ばれる機械には、複数種のレーザーがありますが、一番よく聞くものに「CO2レーザー」と「ファイバーレーザー」があります。CO2レーザー、ファイバーレーザーで加工に向いている素材や、加工方法が違うのでこれからレーザー加工機を導入しようと考えている方は抑えておくべき必須の情報です。
今回はそんなCO2レーザーとファイバーレーザーの違いをどこよりも分かりやすく解説いたします!
この記事ではレーザー出力20W~120Wクラスのレーザー加工機を対象としています。
そもそもレーザー加工機の加工の原理とは
CO2レーザーとファイバーレーザーの違いの説明に入る前にまずはレーザー加工機がどのような仕組みで加工を行っているかを知る必要があります。
レーザー加工機はすごく簡単に説明すると「光」を使って加工を行っています。
紙を黒く塗り、虫眼鏡で一点に光を集中させて火をおこす実験を行ったことがある方もいると思いますが、レーザー加工機はその光を何倍にも増幅させて放出することによりカットや彫刻などのさまざまな加工を行っています。
レーザー加工機の光の増幅には「媒体」と呼ばれるものが必要
上記でも記載している通りレーザー加工機での加工には光を増幅させる必要があります。
レーザー加工機の光の増幅には「媒体」と呼ばれるものが必要で、レーザーの種類によって「媒体」の種類が違います。
媒体の種類には「気体」「個体」の2種類があり、それぞれのレーザー加工機を「気体レーザー」「固体レーザー」と呼ぶこともあります。
CO2レーザーは二酸化炭素を媒体としているため「気体レーザー」。ファイバーレーザーは名前の通り光ファイバを媒体とした「固体レーザー」です。
CO2レーザーとファイバーレーザーの大きな違いは波長の長さ
CO2レーザーとファイバーレーザーの大きな違いは光の波長の長さです。
CO2レーザーは波長が10,600nm(ナノメーター)とレーザー光の中でもとても長く、逆にファイバーレーザーは1,064nmとCO2レーザーに比べおよそ10分の1でとても短い波長となっています。
光の波長は短いほど光の吸収率が良くなり、逆に長くなると光を吸収しづらくなります。
また小難しい話になってしまいそうですが、簡単に説明すると「レーザー光で加工できる素材」が違ってきます。
CO2レーザーとファイバーレーザーの向いている素材
CO2レーザーでの加工に向いている代表的な素材
CO2レーザーは主に彫刻、カット(切断)の加工に向いています。
しかし、金属への加工は光の波長の関係上ほとんど影響を与えられません。
▼紙・木材・ゴム・ガラス・アクリル・石材・皮革・ABS・PETなど
ファイバーレーザーでの加工に向いている代表的な素材
ファイバーレーザーはCO2レーザーとは逆に金属やプラスチックなどの加工に向いていますが、ガラスなどの透過してしまう素材の加工には向いていません。
レーザーの出力が4桁ワットクラスのファイバーレーザーであれば金属なども切断することができますが、20W~120Wのクラスのファイバーレーザーであれば主にマーキングなどに活用されています。
▼金属(ステンレス・鉄・銅・チタン・アルミ)
▼樹脂素材(ポロエチレン・ポリカーボネート・ポリプロピレン・ポリアセタール・ポリアミド・ABS・アクリル)
レーザーでの加工に向かない素材
CO2レーザー、ファイバーレーザーに限らずレーザーでの加工に向いていない素材があります。
塩ビやテフロン加工(フッ素樹脂加工)を施した素材へのレーザー加工は有毒な気体が発生してしまうためレーザーの加工には向いていません。
CO2レーザーとファイバーレーザーのそれぞれの特徴
CO2レーザー
▼長所
・価格が安く導入しやすい
CO2レーザーはファイバーレーザーに比べ比較的安価な機種があるため初めての導入でもコストを抑えてレーザー加工機を導入することができます。
・切断・彫刻加工に向いている
40W~120Wクラスのレーザー加工機で彫刻、カットを行いたい場合はCO2レーザーが向いています。
対応素材の向き不向きがあります。
▼短所
・金属への加工に向いていない
反射率が高い金属はCO2のレーザーの波長では吸収率が悪いため加工には向いていません。
・発振管の定期的な交換が必要
CO2レーザーは発振管の定期的な交換が必要になります。
また発振管の種類はCO2レーザーの中でも「ガラス発振管」「金属発振管」の2種類あり、金属発振管であれば比較的長寿命で使用することができます。
ファイバーレーザー
▼長所
・金属・樹脂のマーキングに向いている
ファイバーレーザーの波長は金属への吸収率が高いため、金属・樹脂のマーキング加工に向いています。
・ランニングコストが安い
消費電力・ガスの消費量がCO2レーザーと比べ少ないのでランニングコストを安く抑えることができます。
▼短所
・CO2レーザーに比べて高価
ファイバーレーザーはCO2レーザーに比べて比較的導入費用が高額になります。
・切断・彫刻に向いていない
高出力のレーザー加工機であれば金属、樹脂の切断や溶接に使用されている機種もありますが、20W~120Wクラスのレーザー加工機の場合主に使用用途はマーキングに限られてしまいます。
おすすめCO2レーザー加工機
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beamo
Beamoは世界最小の卓上CO2レーザー加工機です。価格も30万円代と卓上レーザー加工機の中では非常に低価格です。ソフトウェアやタッチパネルは初めてレーザーを使用する方でも使いやすい設計になっています。初めてレーザー加工機を導入したい方や、趣味での利用を考えている方にオススメのエントリーモデルです。 - 最大加工範囲:300×210mm
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LS100
LS100はA3サイズまで加工できます。カット加工だけでなく、彫刻加工のクオリティにも優れており文字や絵だけでなく写真などの濃淡のグラデーションがあるようなものでも繊細に表現することが出来ます。またトンボ読み取り機能も標準で付属しているのでプリント&カットにも対応しています。これからレーザー加工機を導入しビジネスを始めたいという方にオススメの一台です。 - 最大加工範囲:460×305mm
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おすすめファイバーレーザー加工機
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WeLase FIBER
WeLase(ウィレーズ)は非常にコンパクトで店舗に設置することを想定して設計されました。ガルバノレーザーを採用しており高速でマーキング加工することが出来ます。またリング(指輪)やボトルなどの専用治具もあります。店舗などに置いてその場で名入れサービスをしたいといった用途にピッタリの機種です。 - 最大加工範囲:110×110mm
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LS100EX
LS100EXはCO2レーザー、ファイバーレーザーどちらかのタイプからも選ぶことが出来る機種です。ワット数もそれぞれのレーザーソースごとに数段階の中から選ぶことが出来ます。約A2サイズ程の広い加工範囲を兼ね備えお客様の使用用途によって必要なスペックを選択できる機種です。 - 最大加工範囲:610×305mm
- メーカー:グラボテック(GRAVOTECH)
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デュアルレーザー(CO2/ファイバーレーザー)加工機
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LS900EDGE
LS900EDGEはCO2レーザー、ファイバーレーザーどちらかのレーザーソースを選ぶことなく、どちらのレーザーも搭載したまさにオールマイティな1台です。幅広い素材の加工を行いたい方や、カット加工、金属加工どちらも行いたい方などにオススメです。機械を2台置く必要が無いので省スペースで機械導入することが出来ます。 - 最大加工範囲:610×610mm
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まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はプリントビジネスで使用されている20W~120Wのレーザー加工機に焦点を絞ってCO2レーザー、ファイバーレーザーの違いについて解説しました。
それぞれのレーザーの種類によって加工に向いている素材、加工方法などが変わってきます。
レーザー加工機は機種によっては安いシリーズが出てきたとはいえまだまだ高額なシステムです。
導入を検討する際は今現在作りたい物に限らず将来的なビジネスの広がりも視野に入れて、どの様に活用していくか?どのような商材を作りたいかを考えて導入することをお勧めいたします。
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